「ハイテクソリューション〜IoT社会を支える高機能電子部品〜」

 あらゆるモノから情報を収集し活用していくIoTへの期待が、世界中で加速している。 今までインターネットに接続されていなかった自動車や家電、電力メータ、産業機器やインフラ、ウェアラブル端末、工場の生産設備などが通信で繋がり、他の機器と相互連携することでビッグデータを活用した新たな製品やサービスの創出が期待されている。
現実に、家庭環境や産業環境の監視をするセキュリティ対応、監視カメラや家電機器のモニタリングなどで市場が広がりつつある中、IoT社会に貢献するコンデンサを紹介する。

■IoT市場に向けた電気二重層コンデンサの開発
 ウェアラブル端末は人間の体に直接装着して使うデバイスで、カメラが搭載されたメガネ型コンピュータ、腕時計型端末、リストバンド型の健康器具が代表例として知られ、いずれもハンズフリーの利便性を持つ画期的なデザインとなっている。これらウェアラブル端末は小型であることが求められるため、搭載される蓄電デバイスもその大きさや形状が制限される。例えば、フレキシブルタイプの薄形電気二重層コンデンサをリストバンドの中に収める、あるいは極細の電気二重層コンデンサをメガネのフレーム内に搭載するなど、今後様々な形状に適合したデザインが生まれると予想される。
 これらの市場動向を背景に、当社は極細形電気二重層コンデンサの開発を行った。これまではφ6.3×9L(mm)のサイズで1Fの収容容量であったのに対し、高容量電極の開発、生産技術の確立、精度向上などにより、φ4×30L(mm)で同容量を収容した極細形電気二重層コンデンサの開発に成功した。メガネ型コンピュータ、スタイラスペンなど細長い製品への搭載に適しており、また微弱電流でも充電できる特性を活かし、エナジーハーベスティング分野などへの用途が広がるものと期待している。

極細形電気二重層コンデンサの期待される用途

【図1】 極細形電気二重層コンデンサの期待される用途


極細形電気二重層コンデンサ

【図2】 極細形電気二重層コンデンサ

■長寿命・小形・低インピーダンス リード線形アルミ電解コンデンサ

 電力メータやセンサーモジュールなどは、通信をして情報の発信をおこなっている。情報配信の頻度が多くなるにつれて電力が増えていくため、消費電力を抑えるべく、コンデンサには低インピーダンス化が求められている。更に、モジュールのサイズは小形化の要求が強まっており、なおかつ長時間使用し続けるため、長寿命・小形・低インピーダンスに対応したリード線形アルミ電解コンデンサ「UHWシリーズ」に新たな定格を追加し、ラインアップの拡充をした。高容量の電極箔の採用および低インピーダンス・長寿命化が図れる新たな電解液を開発することで、高性能化を実現している。

長寿命・小形・低インピーダンス リード線形アルミ電解コンデンサ

【図3】 長寿命・小形・低インピーダンス リード線形アルミ電解コンデンサ

■導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサの開発

 アルミ電解コンデンサは小形・大容量で低コストであることから様々な電子機器に使用されている。アルミ電解コンデンサの陰極材料には電解液が使用されており、電解液は誘電体酸化皮膜の修復性が高いことから低漏れ電流化が可能である。しかし、電解液はイオン電導であり、抵抗が導電性高分子に比べ高く、低温領域でのESRの増加や高温領域での電解液の蒸散が加速する等、環境温度の影響を受けやすい。
 一方、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサの陰極材料には導電性高分子が使用されており、導電性高分子は電子電導であるため抵抗が低く高リプル電流に対応できる。また、温度による特性変化が小さく、ドライアップも無いことから様々な温度領域で使用でき、長寿命化も可能となる。しかし、導電性高分子は電解液と比較して誘電体酸化皮膜の修復性が低く、低漏れ電流が求められる用途への採用が難しかった。
 上記2種のコンデンサの欠点を補いつつ両者の長所を持ち合わせたコンデンサがこの度当社が開発した導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ「GYAシリーズ」(125℃4,000時間保証)である。本コンデンサは導電性高分子と電解液を融合したハイブリッド型電解質を採用しており、当社独自の導電性高分子成膜技術と、導電性高分子と親和性の良い新開発の電解液を採用することにより、導電性高分子の特長である低ESR特性と電解液による特長である低漏れ電流特性を実現した。さらに導電性高分子を使用していることから長寿命化も可能であり、車載や電源、通信機器、家電、照明機器等の様々な用途で使用可能である。
 今後、導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサの使用用途が広がり、市場は拡大する方向に進むと考えられる。当社では更なる高容量化・高耐熱化・低抵抗化・長寿命化・高耐電圧化等の要求に対応できるよう導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサの高性能化を行いラインアップの拡充を図っていく。

導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ「GYAシリーズ」

【図4】 導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ「GYAシリーズ」


導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサとアルミ電解コンデンサの周波数特性および温度特性

【図5】 導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサと
アルミ電解コンデンサの周波数特性および温度特性


ニチコン株式会社
2017年1月10日付 電波新聞掲載
技術情報ライブラリーのトップへ戻る ページの先頭に戻る